メキシコ

ユカタンの民族衣装・テルノを着る。-「2. テルノについて」

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ここからは、テルノ自体について解説していきます。
(一番最初のページ「ユカタンの民族衣装・Terno(テルノ)を着る。」はこちら。)

(注:本章に書いてある価格&情報は、全て201712月~20187月時点のものになります。また日本円に換算した値段は、1ペソ=6円で計算したものやこれに近いキリの良い数字にしたものとなります。)

パーツの名前

ウイピルに関する記事でも紹介しましたが、テルノは3つのパーツで構成されています。(だから、スペイン語で「三つぞろい」の意味を持つ”terno(テルノ)”という名前がつけられているんですね。)

1つはJubón(フボン)という、テルノの上半身に付いている、豪華な刺繍(もしくはデザイン)が施されたひらひらのパーツのこと。Solapa cuadrada(ソラパ クアドラーダ、「四角い折り返し」という意味。)とも言い表すことができて、2つ目のパーツであるウイピルの上にくっついているものです。

民族舞踊の踊りを見ていると、ちょうど手(腕)をあげる振付の時に横長の長方形の形をしたフボンの全体が前と後ろで綺麗に開いて見えるんですよね。

 
 
 
 
 
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パーツの2つ目がHuipil(ウイピル)、そして3つ目のパーツとしてJustán/Fustán(フスタン)をウイピルの下に着ます。

テルノの3つ目のパーツであるフスタン

テルノのフスタンの場合、普通のウイピル着用時に着るものとは違い、裾にも刺繍が施されていたり模様が描かれたりしています。

フスタン比較図

 

オススメは、Punto de Cruzのテルノ

Punto de Cruzが施されたテルノ

Punto de Cruz(プント デ クルス)とは、手縫いで施されるクロスステッチの刺繍のこと

私が卒業式で着たのは、ミシン縫い(bordado a máquina(ボルダード ア マキナ)と言います。)による刺繍が施されたものなのですが、 もし今後テルノを買いたいと思う方がいたら、断然クロスステッチの刺繍が施されたものをおすすめします。

考え方は人にもよりますが、クロスステッチが施されたテルノはより手の込んだものになっており、より繊細で美しい刺繍が施されているものとして考えられています。(実際、ユカタン現地で「大学の卒業式でテルノを着ようと思っていて~」と、衣服のお店の店員さんや友人に話したところ、Punto de Cruzのテルノの方をオススメされました。)

ただ、なんと言ってもクロスステッチが施されたテルノの方は、1つ完成させるのに1年程かかるそうで、その分ほかのタイプのものよりも値段は高め。
価格はおよそ12,000ペソ~(7万円から)します。(私が卒業式で着たミシン縫いの刺繍が施されたテルノは、2,800ペソ(17,000円くらい)でした。)

メリダ中心部にある観光客向けの民俗服専門店にて撮影したもの。価格はそれぞれ、左側のテルノ(クロスステッチの刺繍が施されている)は15,000ペソ(約9万円)、右側のミシン縫いによる刺繍が施されたものは5,200ペソ(約3万2,000円)。

また、現地(ユカタン州の州都メリダ)で民族舞踊を見ていた限りだと、ほぼ全ての女性ダンサーが、クロスステッチの施されたテルノを着ていました。

 

民族舞踊”用”のテルノと普通のテルノ(?)

前項で「オススメは、Punto de Cruzの施されたテルノ!現地の民族舞踊のダンサーも、殆どがこのテルノを衣装として着ている!」と言ったのですが、実はユカタンの民族舞踊・Jarana Yucateca(ハラナ・ユカテカ)を踊る現地のダンサーさんが着ているテルノというのは、「民族舞踊用に発展したもの」なのだそう。(ユカタン州の州都メリダにある市場にて衣服屋を営んでいる友人曰く。)

テルノの比較写真。左側が、ミシン縫いの刺繍が施されたテルノを着ている筆者。右側が、クロスステッチの刺繍が施された刺繍を着た民族舞踊のダンサー。

上記写真を見てもらうとわかるように、右側のテルノの上半身に付いているフボンの方が、左側の普通のテルノのものよりも大きいんですよね。(ついでに言うと、ウイピルの下の方で刺繍の施されている部分も、民族舞踊の衣装の方が面積広めですね。)

しかも、現在ユカタンで目にするクロスステッチの刺繍が施されたテルノの殆どは、写真右側のテルノような、フボンの部分が大きいものとなっています。

ここで自分の体験談を話すと、ユカタンにテルノを購入しに行った際、私は「クロスステッチのテルノにはちょっと手が届かないけれども、自分の好きな刺繍が施されたテルノを見つけて、購入して、帰国後学部の卒業式でテルノを着たい!」と思っていた上に、ユカタンの民族舞踊のダンサーさんが着ているような、フボンの大きいテルノが欲しいとも思っていました。

しかしながら、「ミシン縫いの刺繍が施されたテルノで、刺繍のデザインが好きになれるもの(買いたいと思えるもの)であり、且つフボンが大きいもの」というのは見つけることができず。

結局、フボンの部分やウイピルの下の刺繍部分が民族舞踊の衣装で使われているテルノほどは大きくない、ミシン縫いの刺繍が施されたテルノ(上記写真左側のもの)を購入しました。

その後、(先ほどもすこし触れた、)メリダの市場で衣服屋を営む友人にこのことを相談したところ、以下のようなコメントが返ってきました。

「本来のテルノというのは、現在ユカタンの民族舞踊のショー(Vaquería(バケリア)と言う。)で見られるような大きなフボンのついたものではなく、あなたが買ったテルノのようなサイズのフボンがついているものなんだよ。民族舞踊では、特に回る振り付けの時にフボンが大きい方がより目立つし、華やかに見えるでしょう?だから、民族舞踊で用いられるクロスステッチのテルノは、どんどんフボンのサイズが大きくなっていって、現在バケリアで見受けられるようなものになったんだよね。」と。

上記写真はバケリアの時の写真で、ちょうどダンサーが回っている際に撮ったものなのですが、確かにフボンが大きいと、回転した時にフボンが広く開いてより一層目立って見えます。

というわけで、ちょっと話が遠回りになりましたが、現地の民族舞踊のダンサーさんが用いているクロスステッチのテルノと本来のテルノの違いについて、ひとつ豆知識として紹介しました。

ちなみに、ユカタン州の州都メリダでテルノを買う場合、Punto de Cruzのものを買いたい場合は中心部にある民俗服販売店や民芸品店が、その他のタイプのテルノが欲しい場合は市場(次ページの「3. 装飾品について&参照文献」にて紹介するルーカス デ ガルベス市場)が、それぞれオススメの購入場所となっております。参考までに。

(テルノを含む、ユカタン特有の衣服や民俗服・ウイピルの購入場所については、こちらの記事にて詳しく書いています。)

 

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